ピアノで、左手が良く動くようになる
こんにちは。葛飾区ゆめピアノ教室のいしごうおかです。
それほど問題なくピアノを弾けているような指や手の動きをしても、「左手がもう少し動くようになれたら」と言う人がいます。
日本人は右利きが多いので(9割くらいは右利きというデータもあるようです)、左手の動きに苦手意識を持っているのかもしれません。
右に比べて動きが思うようにいかない左手に特化した練習方法と探っていきましょう。
出典 ピアノレッスンのヒント
左右は同量の練習をするべきか
早速左手を強化!といきたいところですが、その前に少し考えてみましょう。
左手の動きを右手なみにしたいなら、左手の練習を右手と同量にするか、多くするかをしなくてはいけないでしょう。
主流になっているツェルニーなどの練習曲では、右手が動く練習曲が多いので、こればかりやっていてはどうしても右手ばかりの練習になってしまうという指摘もあります。
そこで左手の練習をたくさんするために、練習曲の左手を強化する曲をたくさんやるとか、ツェルニーの右手パートと左手パートを入れかれて練習すると良いと推奨している人もいて、やると左手強化に効果的のような気がしますが……
一般的に多く使われているツェルニー練習曲は右手が左手よりも重視されているようです。
ですがツェルニー30番も両手が動く練習曲が15曲ですから、半分です。
左手2曲と合わせて半分以上。30曲を弾いたら左手は半分以上の練習曲で活発に動いています。
これはピアノの基本的テクニックを習得する過程としては、ギリギリではあるものの左右をきちんと練習できている割合だと思います。
ツェルニーは右手重視の練習曲ではありますが、右手偏重ではないのです。
どういうことかというと、ピアノは右手が高音部で左手が低音部を弾くという楽器の性質上、右手の方が多く動くのは当然なのです。
そもそも、左手は右手と同じくらいに動く必要があるのでしょうか?
こんなことを言うと、「そんなのあるよ!左手が右手のように速く強く動いた方がいいの決まっている!」といわれそうです。
確かにそのようには思いますが、では左手が速く強く動いたとして、いったい何の曲を弾きたいのでしょう。
ショパンの練習曲「革命」を弾くのでしょうか?
確かに革命は左手が速い動きをします。右手はほとんど和音のなので、左手が動かない人にはちょっときついかもしれません。
でも考えてみたら、ショパンの革命を弾くレベルの人で、左手が右手よりも極端に動きが悪い人は、あまりいないでしょう。
そこまで到達する過程で、かなりピアノの練習を積んでいて相当なレベルのはずなので、左手は右手と同じに動かなくても、そこそこ思うように動くようになっているでしょう。
つまり、左手の動きが悪いと思っている人の多くは、実は右手もあまり動きが良くない人ではないかと思うのです。私自身は生徒を教えていて、「この人は右手は良く動くのに左手はあまり動きが良くない」と感じることは、ほとんどありません。
左手のピアノ練習曲を探すより、ポリフォニーのものを
ここまでで、だいたいご理解いただけたと思います。
左手の動きに苦手意識を持っている方は、左手のための強化練習ということに気をとられるよりも、普通のピアノ楽曲や練習曲で左手もしっかりと弾けるように意識することが大切です(特に初級から中級くらいの方には)。それが出来ているならば、左手の動きは強化されて良くなっていきます。
ですから、ツェルニーの左右を取り替えて練習することは、無駄なこととは言いませんが、あまりいいとも思えません。
ツェルニーは30・40・50・60と様々な練習曲で、左手には左手の動きを練習できるように、右手には右手の動きが身につくように作っているのですから。
しかし、できればツェルニーをどんどん進めるのではなく、左手にもメロディー的な動きのある、ポリフォニー バッハなどの小品を、数多くすることです。
つまり、練習曲でなくてもいいのです。モーツァルトやハイドンなどのソナタでも、左手の動きが多い曲は沢山ある(モーツァルトの有名なハ長調のソナタもそうですね)ので、そういった左手が活躍する曲を意識的に弾くことも、もちろん効果的な練習です。
忘れないで欲しいのは、左手には左手の役割があるのだということです。左手に右手の役割をさせることはできません。
気をつけて欲しいのは、左手の練習をたくさんやろうとして、左手のパートのみを反復練習して弾くことです。
これは良いことのように思われますが、肩などに力が入ってピアノを弾く姿勢の左右のバランスを崩すことがありますので、お勧めはしません。右手をサボらせているようにも思えます。
ピアノは両手を鍵盤に置く方が、片手で練習するよりも余計な力が入らないのです。
余談ですが、私は左手が速く動く曲の場合、左手が先に行ってしまって右と合わないことがあります。
左手が良く動くのね、ということではなく、指の動きに脳がついていかないためと思います。
ただ速く動けばいいということでもないですね。
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